ナンってどんな食材?作り方やルーツをご紹介!
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お店で食べるインドカレーといえば、大きな「ナン」が添えられているのが定番ですよね。スパイスカレーを家庭で手作りする人が増えた影響から、最近ではスーパーのチルド売り場で見かけることも多くなりました。
以前より身近な食材となった「ナン」ですが、具体的にどんな食べものなのか気になってる方も多いのではないでしょうか。
本記事では「ナン」の歴史や作り方、アレンジ方法について解説します。
ナンとは
ナンは中央アジアを中心に食べられているパンの仲間で、日本でも広く親しまれている食材のひとつです。小麦粉に酵母を加えて発酵させ、平たく伸ばした生地を焼成して作ります。
日本ではインド料理店で提供される機会が多いほか、最近では温めるだけで完成するチルドのものや自分で作れるミックス粉など、市販品も多く普及しています。
ナンの歴史
ナンの歴史は古く、約7000年以上前のペルシャ料理が起源と言われています。「ナン」は元々ペルシャ語でパンの総称を意味しており、そのため国や地域によって使われる材料や色・形に違いがあるのが特徴です。
生地を薄く伸ばして焼いたナンは、古くから人々の生活に取り入れられてきました。日本では一般的に白い雫型の大きなナンが食べられていますが、これは昭和後期に東京の石窯製造会社が「タンドール釜」を販売したのが始まりと言われています。
タンドール釜とは壺状の大きなかまどで、内側に生地を貼り付けてナンを焼く調理具のひとつです。それまで国内で普及していなかったナンは、東京にあるインド料理店にタンドール釜が導入されたのをきっかけに全国的に広く知られるようになりました。
チャパティとの違い
インドの代表的なパンに「チャパティ」があります。平たい薄焼きのパンの仲間でナンとよく似ていますが、実は全く別の食べものです。ナンとチャパティの違いは以下の通りです。
種類 | 原材料 | 生地の発酵 | 焼成方法 |
---|---|---|---|
ナン | 精製した小麦粉 | あり | タンドール釜 |
チャパティ | 全粒小麦粉 | なし | 鉄板・フライパン |
チャパティはナンに比べて原材料が安価な上、無発酵のままフライパンで焼成できるため、手頃な主食のひとつとしてインドを中心に周辺国で広く普及しています。
インドの一般家庭では一回の食事に約三十枚以上のチャパティが用意されるともいわれ、食卓には欠かせない存在です。
ナン作りには精製された小麦粉や大きなタンドール釜が必要ですが、水と全粒粉さえあればどこでも作れるチャパティはまさに庶民の味方といえるでしょう
インドの主食はナンではない
では、チャパティが親しまれているインドでは「ナン」はどういった存在なのでしょうか。実はナンが日常的に食べられているのは北インドやパキスタンの一部のみで、それ以外の地域では「高級料理」のひとつとして扱われています。
精製された小麦粉と専用の釜を用いて作られるナンは、元々宮廷料理として上流階級に振舞われていた歴史を持っています。そのため現在でも「特別な日の食べもの」「高級レストランで食べるもの」とされており、一般的な家庭の食卓に並ぶ機会はほとんどありません。
そもそもタンドール釜は家庭用として普及していないので、日本に来てから初めてナンを食べたというインド人も珍しくないのです。インド料理でナンが定番というイメージは、実は日本特有であることがわかります。
ナンの栄養素
カレーと一緒に提供されるナンですが原材料は非常にシンプルで、小麦粉または強力粉、塩、砂糖、イーストで作られます。
上記を水で練って作るので、栄養価は食パンとほぼ同じといわれています。
ナン1枚を100グラムとした場合、白米(一膳分150グラム)と比べた時の栄養価は以下の表の通りです。
種類 | カロリー | 脂質 | 糖質 |
---|---|---|---|
ナン | 257kcal | 3.4g | 45.6g |
白米 | 234kcal | 0.5g | 53.4g |
カロリーは殆ど変わらないものの、脂質はナン、糖質は白米の方が高い傾向があります。どちらも栄養価に大きな差はありませんが、ナンはお店によってサイズが大きく変わるため注意が必要です。気になる場合は注文時に確認するとよいでしょう。
より多くの栄養素を摂取したい時は、食べ合わせを工夫してください。主食であるナンは炭水化物が多く、ビタミンやミネラルは少ない傾向にあります。献立にサラダを入れたり、野菜の多いカレーを選ぶとより多くの栄養素が摂取できます。
インドカレーには肉の代わりに豆を使った「ダール」や、ほうれん草をベースにした「パラックパニール」など、野菜をメインにしたレシピが豊富にありますので、お店でナンを食べる際はぜひメニューをチェックしてみてください。
ナンの作り方
ナンは小麦粉に塩・砂糖・イーストを混ぜた生地がベースで、レシピによって卵や牛乳を使用する場合もあります。発酵した生地を平たく伸ばし、タンドール釜で焼くのが基本的な作り方とされています。
お店で食べるというイメージが強いナンですが、オーブンやフライパンを使用すれば簡単に調理できるため、自宅で出来たてを味わえます。ホットプレートを使えば、小さなお子さんと一緒に作ったりホームパーティーで大人数に振舞ったりと、幅広く楽しめる食材です。
発酵などの過程に不安がある方は、自宅でナン作りができるミックス粉が市販されていますのでぜひ活用してください。初心者でも簡単においしいナンが作れる上に、チーズやナッツを入れたアレンジレシピにも手軽に挑戦できます。
ナンのおすすめアレンジ方法
インド料理と合わせて食べる機会の多いナンですが、いつもとは違った食べ方で味わうのもおすすめです。もっちりとした食感とプレーンな味わいは、驚くほどいろんな調理法と調和します。
カレーと一緒に食べるだけではもったいないほど奥深いナンを、家庭でより楽しんでみましょう。次項では、ナンのおすすめアレンジ方法を紹介します。
ピザにする
ナンを土台にして、オリジナルのピザを作ってみましょう。モチモチとしたナンは食べ応えがあり、具材と合わせるとボリュームのある一品に仕上がります。野菜をたっぷりと乗せると、不足しがちな栄養素を手軽に補えるのでおすすめです。
ピザの具材として人気のあるトマトは、「リコピン」が豊富に含まれているため抗酸化作用が非常に高く、生活習慣病の予防に効果的です。
さらににんにく・玉ねぎと合わせて加熱すると「ジアリルジスルフィド」という成分が活性化し、リコピンの吸収がより良くなると言われています。
リコピンは脂溶性であるためオリーブオイルとの相性も良く、まさにピザの具材にぴったりです。ほんのりと甘い風味のナンが、素材の旨味をより引き立ててくれます。好きな野菜をたくさん乗せて、自分だけのオリジナルピザを作ってみてください。
スイーツにする
優しい甘さとクセのない素朴な味わいが特徴のナンは、デザートとしても楽しめます。定番のカレーと正反対のイメージですが、実は様々なスイーツアレンジと相性が良いのです。中でもナンに合う食材として人気なのが、「クリームチーズ」です。
あたたかいナンに濃厚でなめらかなクリームチーズ、そして蜂蜜を合わせると、あっという間にリッチなデザートに。チーズと蜂蜜の組み合わせは「味の抑制効果」が働いてそれぞれの風味を引き立てる効果があるため、満足感の高い味わいになります。
また、食パンの代わりにナンを使用した「小倉トーストナン」もおすすめです。冷たいアイスを添えると、あたたかいナンにじんわりと染み込んでスイーツ好きには堪らない一品に仕上がります。
チョコやナッツ、フルーツなど、お好きなトッピングで自由にアレンジしてみましょう。
余ったナンの保存方法
出来たてが最もおいしいナンですが、すぐには食べきれないということも。特に家庭で手作りした場合、保存方法が気になりますよね。
ここでは余ったナンの冷蔵保存、冷凍保存の方法についてご紹介します。保存の際に気を付けたい注意点もあわせて解説するのでぜひ参考にしてください。
冷蔵保存
ナンはパンの一種ですのでカビが生えやすく、長期の保存には不向きです。冷蔵保存する場合にはラップや保存袋で密閉して、なるべく空気に触れないようにしましょう。
ナンは冷蔵で保存すると水分が抜けて固くなってしまう上、カビが発生しやすくなるので注意が必要です。お店でテイクアウトしたものも含め、手作りのナンは3日を目安に食べきるようにしてください。
冷蔵保存したナンを食べる際は、霧吹きで水を吹きかけた後レンジで軽く温め直すのがおすすめです。ふっくらとした食感を取り戻せます。
さらに出来たてを再現したい場合は、レンジの後にオーブントースターで加熱しましょう。表面のパリッとした香ばしさが復活して、よりおいしく味わえます。焼き上がりにオリーブオイルやバターを塗って楽しむのもよいですよ。
冷凍保存
余ってしまったナンは食べるタイミングに関わらず、すぐに冷凍保存するのがおすすめです。カビが発生する危険性が低く、水分ごと凍らせるので解凍した時においしく食べられますよ。
保存方法は冷蔵保存と同様で、一枚ずつ空気に触れないように密閉してください。ラップで包んだあとに保存袋に入れれば、より冷凍焼けや匂い移りの防止に効果的です。ナンを冷凍で保存した場合の期限はおよそ1か月とされています。
解凍する際は、常温に戻すか冷蔵庫に移して自然解凍しましょう。凍ったままレンジで一気に温めると、水分が抜けて固くなってしまいます。解凍したナンは霧吹きで水分をかけ、レンジで温めた後にトースターで加熱してください。
まとめ
シンプルな味わいともっちりとした食感のナンは、カレーだけではなく様々な食材と合わせて楽しめます。
おいしいナンを囲みながら、その意外な歴史について話すのも楽しそうですね。具材やトッピングを工夫して、ぜひご家庭でおいしいナンを作ってみてください。