オランダKIEのサマーカンファランスの宿泊は一人部屋か相部屋か好みで選べるようになっている。勿論相部屋の方が安い。部屋にはトイレ、シャワー、小さなベッド、勉強机とイスのセットがどうにか収まっている。
日本からミラノ経由でオランダ入りしたコーヒー好きの友人がトランクにコーヒーメーカーを忍ばせ、イタリアで買ってきたコーヒーを淹れるというので部屋にお邪魔した。すると、一緒にコーヒーを飲みながら窓の外を見ていたあけみちゃんが突然“先生うさぎ!”と叫んだ。
エッ、と外に目をやるとグレーのネダーランドドワーフ?の赤ちゃんうさぎが4,5匹あちこちに散らばって草を食べているではないか。親は、と捜すと少し離れたところでちゃんと子うさぎたちを見守っている。ここにうさぎがいることは聞いていたが野生の本物を見て私達は大興奮。次の瞬間私は東京のマンションで留守番中のボビーのことが脳裏をよぎる。

うちのボビーは笹塚のペットショップ生まれだ。子供の頃から動物好きな息子が大学生の時生まれて間もない赤ちゃんうさぎをそこで見つけ、あまりの愛らしさに9800円で衝動買いしまったという。それから毎日水を飲ませて育てたんだそうな。
私はその頃ボストンにいたので赤ちゃんウサギだったボビーは知らない。息子はメスだと聞いて最初オードリーと名づけ、オドちゃんと呼んで姉たちとかわいがっていたら大きくなってオスだと判明。よくあることだ。抱っこすると怒って“ブー”と唸るのでオドブーとなり、いつのまにかボビーになって今ではビーちゃんとさえ呼ばれている。
ボビーは私たちが留守の日中、やりたい放題。携帯の線や電話線など何本噛み切られ壁紙も食いちぎられたことか。うさぎは噛むのが習性なのだ。一度困った娘が檻に入れてみたがパニックになり、出して、出して、と泣いて騒いだのであまりにもかわいそうで見ておれず檻はばらして捨ててしまった。トイレは新聞紙を敷いておくと多少外れるが大体はそこで用を足す。動物食はしないからトイレも匂いがないし体臭もなくお風呂にも滅多に入れない。
そのかわりしょっちゅう両手でパンパンパンと自分で手の埃を払い、それからなめてその手で耳や顔を丹念にふいているからいつもピカピカ。もう7、8歳だから死んでもおかしくない年らしいが玄米と無農薬野菜、あずきの煮物と豆腐クリームが主食のせいかあまりストレスがないのか病気知らず。
夜行性のボビーは夜は私のベッドの下の狭いところに潜り込んでベッドの木枠や収納用段ボールをかじったり、新聞紙を引きちぎったりして遊んでいるが朝には居間で私が起きるのを待っている。そして私が起きたのを感知すると私の足元にふっ飛んできて大きな目でじっとこちらの様子を覗っている。
それからキッチンへついてきて後ろ脚で立って冷蔵庫の前で朝ごはんをねだるのが日課である。1日の最初に食べるのは大概甘栗一粒とグリーンの野菜少々と蒸した国産全粉粉の天然酵母パンなどだ。真夏以外水分は摂らない。